青木恵理子著、世界思想社「生を織りなすポエティクス~インドネシア・フローレス島における私的語りの人類学」を読みました。
(正確には以前に読み終えていたものの感想記事です。)
この本を読んだ感想は一言で表わすと「とにかく疲れた」なのですが、それでは話になりませんので内容に触れていきましょう。
インドネシアを訪れた時には、積極的に現地の文化に触れていきたい。
(写真はスラウェシ島タナトラジャ、ランテパオ近郊の村)
フローレス島を訪れる前に本書を読んでいれば、オランベオという私的言語文化を内側から理解する事が出来るかもしれない
今回の私の記事によるオランベオの説明は、あくまで私の理解に基づくものであり、正確さを欠く点も多く含まれていると思われますので、ご了承ください。
まず初めに私は人類学については全くの素人です。
本書で取り扱っている内容は人類学であり、500ページ以上にわたり、かつ内容も非常に難しい本です。
読み物としての本というよりは、研究者のための本であり、論文のような内容です。
そのため私はまず「疲れた」という感想なのですが、その分得られたものも多くあったとも言えます。
そもそもフローレス島自体が日本にとってはあまり馴染みがありませんね。
フローレス島はバリ島の東部(ヌサ・トゥンガラ諸島)に位置します。
近くにはコモド島やリンチャ島などがあり、コモドドラゴンや絶景のピンクビーチなどは日本でもある程度有名ですね。
フローレス島はクリ・ムトゥ山が有名です。
インドネシア好きな方であれば一度は行ってみたいと思う場所なのでしょうが、一般的には無名な部類になるのでしょうね…。
参考リンク「まるごとインドネシアep12では、フローレス島の秘境ワエレボ村やコモド国立公園などが紹介」
フローレス島における詩的語り、オランベオとは?
さて、オランベオとはフローレス島における文化の一つです。
オランベオは、韻を持った詩的な言語です。
言葉や語りついできた工夫、知恵のような物であり、同時に言い伝えや呪術でもあります。
そして、今でも生活の大事な場面にリンクしています。
文字の無かった時代には、恐らく口承や伝承・言い伝えといったような語り継がれてきたものがあったはずですが、オランベオはそのような物に近いでしょうか。
フローレス島の生活には今もオランベオが生活の場面に入り込んでいます。
旅行・観光でフローレス島を訪れて、オランベオを伴う儀礼などを見学することは出来るかもしれません。
オランベオについての理解が無ければ、その儀礼は「単なる珍しい見せ物」で終わってしまうかもしれません。
ガイドから説明を受けたとしても表面的な理解に留まると思われます。
しかし、オランベオについての理解があれば、その儀礼が持つ意味や背景についても理解が深まる事でしょう。
オランベオの前提知識を持った上で、ガイドと(もしくは現地の人と直接)会話すればそこで行われていることの意味について、内側から理解できるかもしれません。